とても良い疑問です。結論から言えば──
✅ 当時の船で馬を運ぶのは極めて困難で、現実的にはほぼ不可能です。
【理由1】当時の船の構造と技術水準
神武天皇の時代とされる紀元前7世紀ごろ(実際には神話時代で歴史的実在は不確か)、日本に存在した船は次のようなものでした:
- 丸木舟(一本の大木をくりぬいたもの)
- 板を合わせた簡素な木造船(まだ非常に小型) → ✅ 構造が不安定で積載量が少ない馬のような大型動物を載せれば、重心が偏って転覆の恐れがあります。しかも馬は暴れる可能性が高く、拘束する技術や設備もありません。
【理由2】動物運搬の事例と比較
-
朝鮮半島から日本に馬が本格的に入ってきたのは、5世紀ごろ(古墳時代)
-
百済からの輸入とされ、船での運搬には特殊な改良があったと推測される
-
当時はすでに大型船が発展しており、船団形式で航行もしていた → ✅ 5世紀でようやく可能になった技術を、神武神話の時代に期待するのは無理
【神話としての記述】
『日本書紀』では、神武東征の際に「兵を乗せて海を渡った」とは書かれていますが、「馬を船に載せた」とは明記されていません。馬に乗って行軍する場面はあるものの、おそらく畿内上陸後の話です。→ ✅ 神話の演出として、あとから馬を使った設定が加味された可能性
結論
- 当時の船では馬を船で運ぶのは不可能
- 馬が登場するのは神話の演出
- 馬の本格的導入は古墳時代以降 👉よって、神武天皇が馬を船に乗せたというのは歴史的事実ではなく、後世の脚色や象徴表現と考えるべきです。